手術時に出血量を確認する場合、ガーゼで拭いた血液量も確認し正確な出血量を計測します。
原理的には血液がついたガーゼの重さを計って、それからガーゼの重さを引けば出血量がわかるというわけです。
そんな手間があかる出血量カウントですが、自動で行なってくれる機器があります。
MERAである泉工医科工業株式会社が20年ほど前から、販売している俗称カウン太くんという機器です。↓
こちらの機器20年程前よりほとんど外見と構造を変えずに現在に至る、いわば、手術室医療界のシーラカンスです。
そんなカウン太くんですが、昔のタイプはとても頑丈で壊れないのも特徴で現役でいまだに20年近く動いているものが、当院でも2台ほどあります。
そんな丈夫なカウン太くんも先日、”電源がついたり、消えたりする”という症状を発症し、MEセンターに運ばれてきました。
とりあえず、電源ケーブルの接触を疑いカバーを開けてみます。
もちろん、機器を開けた時点でメーカーの保証はなくなりますので完全に自己責任でお願いします。(古い機器なので、そもそもメーカー保証もなにもないですが)
下図が裏蓋を開けたところです。
昔の機器だけあって、作りがシンプル且つ洗練されています。
下側のトランスがACを降圧し、下部の右側の回路で、DCの各電圧を作成していると思われます。
上部の大きな回路がワンボードで全ての制御を行うメインボードでしょう。
たぶん8bitマイコンなどを使った昔ながらのマイコン制御です。
故障現象は電源ケーブルを触ると電源がついたり、消えたりすると言う事なので、トランス前までの何らかの物理的故障であると思われます。
今までの経験から、たぶん赤丸部分の断線を疑いました。
電源ケーブルを外して、導通チェックをしてみるとやはりここが物理的圧迫により断線しかかっている事が判明。
少しケーブルが短くなりますが、断線部分を切り離して、被覆をハギもう一度つなぎ直せば元どおり治るはずです。
修理完了の写真をとるのを忘れていましたが、無事修理完了しました。
まぁ機器が古すぎるので、一応新しいカウン太くんも更新と言う形で買う事にしましたがね。
これでまた数年は働いてくれそうです。
やはり、昔の機器は故障に強いですね。