当院では株式会社メッツ社製のインフュージョンポンプチェッカーであるinfutest2000にて輸液ポンプやシリンジポンプ の流量チェックや閉塞圧チェックを行っています。
infutest2000は非常に頼もしいチェッカーなのですが、管理ソフトがインストールされたPCに有線で接続しないと最大限の能力を発揮しません。
これがinfutest2000です↓

今回はこのinfutest2000を有線でなく無線化できないか?を検討して実験していきます。
もし無線化できたら、点検用のPCをわざわざinfutest2000の近くに置いて置く必要もないし、infutest2000の配置も自由に決める事ができて便利です。
まずは有線の内容を確認
まず、無線化に向けて今現在有線でやりとりしているデータはどのような形式なのかを調べる事にしました。
PCに接続しているのはUSBでinfutest2000側は25ピンのシリアル接続と言う事がわかりました。

PC側はUSB↓

おそらく、シリアルはRS232という規格で、USB規格にどこかで変換されていると予想しました。
ケーブルを探ると何やらあやしい箱?のようなものがあったので、開けてみるとシリアルをUSBに変換する基盤がありました。

↑の基盤はシリアルの電圧をTTLレベルに変換するものみたいです。
裏側にはCP2023という基盤がありこれがシリアルのUARTという通信をUSB規格に変換するものと言う事がわかりました。

どうやって無線化させるか?
まず、どうやって無線化させるかですが、シリアル通信(UART)をブルートゥースに変換するという基盤がアマゾネスで結構安価に売られています。
↓こんなやつ
↓はRS232CをUARTに変換してくれてさらにBluetooth化するやつ
色々な製品がありますが、今回は秋月電子で以前買っておいたRN-42モジュール評価キットというものを使用してシリアル通信を無線化してみる事にしました。
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gK-07378/

↑これです。
なんとこれ、シリアル信号のUARTをBluetoothで無線化できます。
RN-42 Bluetoothモジュールの使い方1 | Workpiles
とか
RN-42モジュールのコマンド – Qiita
を参考に設定し、ボーレートを9600に変更しました。
あとはデフォルト設定としています。
infutest2000のシリアル通信の使用について
infutest2000側のシリアルはRS232の通信で、UARTのTTLレベルに変換しなければならないというのが、既存の有線ケーブルのチップ情報からわかりました。
私も詳しくは知らなかったのですが
こちらのサイト エンジニアの電気屋さん
で勉強しました。
infutest2000側は25ピンのシリアル接続なので一応どのようなものが接続されているのか確認です。

開けてみると4本の線しかつながっていない事がわかりました。

ピンアサインは2番、3番、4番、と7番でした。
一応ググってみたところシリアル接続しているのは

上記の通りでTXD RXD RTS GNDと言う事がわかりました。
RTSは基盤上でCTSと結線されていたので、実質上通信に必要なのはinfutest2000が通信を送るTXDと通信を受けるRXDとグランドの3本がだけが重要になります。
結構簡単な仕組みでした。
infutest2000からのRS232をTTLレベルに変換する為に
ここまでで、通信規格や結線がわかりました。
RN-42は3.3V程度のUARTを受けてそれをBluetoothで送受信します。
ですので電圧がマイナスから15V程度あるRS232は直接接続できませんのでTTLレベルに変換ののち電圧を3.3V程度にしないといけません。
変換はADM3202というRS232をTTLレベルのUARTに変換してくれるICを使います。
なんと5個のコンデンサと電源だけで動作します。



動作電圧もここで3Vで動かして置くとTTLレベルの出力電圧も3VとRN-42に合わせた電圧になるので最高です。
こんな感じでブレットボードに配線しました。

これでRN-42のRXDにinfutest2000から送られてくるTXDの白い電線をADM3202を経て3.3に降圧して結線すればいいわけです。
実際にシリアル通信を行った動画がこちらです。↓
動画ではinfutest2000のテスト結果などをシリアル出力する項目があったのでそれを利用しました。
summaryというところからsirialを選択してoutを押せば通信がスタートします。
ボタンを押した瞬間から通信がスタートして内容がPCに送られました。
映像ではarduinoが写っていますが、あれは3Vの電源供給用だけで通信には関係ありません。
PC側は事前にteatermという通信ソフトをインストールしておいて、Bluetoothの仮想COMポートを選ぶとRN-42と接続できます。
こんな簡単に無線化する事ができました。
次回はinfutest2000とデータのやりとりを行うソフトがあるので、そちらで無線化できるか挑戦します。
実質のところこinfutest2000だけではポンプチェックの作業効率がわるく、PCでのソフトウェアを使ったポンプチェックを行っている施設がほとんどだとおもいます。
そのソフトウェアをinfuMnager2000といいます
ですので無線化はあくまでinfuManager2000上で行う事を目標にします。
できなかった事と今後の展望
このRN42の仮想COMポートではinfutest2000のPCソフトウェア上で認識せずだめでした。
予想ですが、UARTとUSBをブリッジするCP2103のドライバだけを認識するようにソフトウェア上で細工してあるんじゃないかと予想しています。
次回は上記内容を克服するようにチャレンジします。
以上。実験報告!!